超映画批評『それでもボクはやってない』98点(100点満点中)

[情報元:つかれた]
本当に短く感じてしまう、凄い映画だ。2時間半を超える超大作なのだけど、実感としては1時間半も無いのではというくらいにぐいぐい引き込まれる。
憤りを感じる部分がどうしても多いのだけど、それを不快と思わせないように慎重に作っているので見ていて嫌な気分にならない。苦難があってもちょっとした笑いとか、勇気づけられるなんらかの出会いがあるとかで上手く心を逃がしてくれている。
それは作品全体にも言えることで、特にカメラのアングルなどを被告人、弁護人、検察側、傍聴席、そして裁判官というそれぞれの視点でめまぐるしく動きつつそれぞれの気持ちをわかりやすく説明してくれる。
裁判独特のわかりにくい用語や制度なども、上手く説明してくれる。友人が代弁したり、電話口でたまたま話している内容だったり、この辺りも見ていて飽きさせない工夫が上手い。
この映画の面白いところは、音楽がほとんど挿入されないことだろう。雑音などが音楽と言うことなのだろうけどそれが見事に臨場感を出している。ここで泣け!とかここで笑え!と誘導されている気分がないのが良い。
唯一のマイナス点というのは、その辺りのことだろうか?この裁判の事実通りの結末についてだろうか。